翻訳家&通訳者エリーの部屋

とある日本人主婦英語翻訳家・通訳者のブログです。

語学の道は自由への道

私が翻訳家、通訳者への憧れを抱き始めたきっかけは、ありきたりですが、ある英国人ロック歌手が出演している、「ラビリンス魔王の迷宮」という映画をテレビで観て、ファンになったことでした。

 

デヴィッド・ボウイさんとの邂逅は、私の人生に強い影響を及ぼしました。

彼の声、容姿、ファッション、そして役柄の裏側に隠された彼の人間性に、強く惹かれました。

当時はレコードの時代でしたので、近所の音楽ショップで売られていた彼のレコードを、お小遣いで買い集めました。

彼の歌詞は難解でしたが、当時私が抱えていた、誰にも相談できない宗教的な悩みに、ある一つの答え

をくれる歌がありました。それは「ラビング・ジ・エイリアン」という歌でした。

 

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私の家庭は、父が某宗教団体の熱心な信者でしたので、私も幼い頃から家庭で厳格な宗教教育を受けました。宗派が違う神社仏閣でお参りすることは禁止され、おみくじを買うことさえ許されませんでした。修学旅行で太宰府天満宮に訪れた時にも、みんなが参拝している間、私と同じ宗派の生徒たちと一緒にかたまって境内でじっと立って待っていたことを良く覚えています。

私は、中学時代は少なくとも自分の校内では勉強の成績だけはずば抜けて良かったので、その宗教団体の子供のリーダー的グループに推薦され、「お経を沢山唱えたのでトップの成績が取れた」などというスピーチをさせられました。

事実は、私は小学校時代から中学時代にかけて、いじめの対象にされていたので、その辛さを克服しようと、仏壇に向かって毎晩のようにひたすらお経を唱えていた記憶はあります。

でも、勉強の方は、本当は小学校から通っていた塾での勉強の成果であると、私は考えています。

私はスピーチの内容を書き直させられたことが、一生忘れられないトラウマになってしまっているのです。

ボウイさんのその歌の歌詞には、こうありました。

But if you pray
all your sins are hooked upon the sky

Pray and the heathen lie will disappear

でも、祈れば全ての罪が空に吊るし上げられる

祈りなさい、そうすれば異教徒の嘘は消えていくだろう

英文法もまだろくに理解していなかった中学校一年生の時、初めて買ってもらった英和辞典を使ってこの歌を自己流で解釈し、まるで私の人生の問題に一つの答えを与えてくれているような、慰められるような不思議な気持ちになっていたのです。

私は、今思うと、子供ながらに、外国語というものは、日頃母国語では語られることがタブーとなっている話題について、語ることが許される手段となり得る可能性に惹かれたのだろうと思います。

英語を話すということは、自由に話すということ、英語を訳すということは、自由な思想を訳すということなのだと。

私は、次第に翻訳家や通訳者となる道を追い求めるようになっていきました。その歩みは、今思い返してみると、自由への道の模索に他ならなかったのです。

 

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